vol.26 最終回「好きに暮らす、パリのすまい」
文:山本ゆりこprofil

 パリ暮らしもあっという間に過ぎ、もうすぐ8、9年目になるでしょうか?今住んでいるところは、凱旋門の北に位置する17区、閑静な住宅街です。まわりにお店はあまりなく、大きな花屋さんとインテリアショップが数件。この花屋さんは直にふれることのできる私の植物図鑑のような存在です。今はサパン(モミの木)などのノエル(クリスマス)向けのお花や植物が軒先に並べられています。大きな実をつけたレモンやクレモンティーヌの鉢植えも、この時期ならではのものです。

 私の部屋は建物の7階(日本の8階)にあり、30m2 ほどで、住み始めて5年。窓からはエッフェル塔も見えます。白壁で家具なしだったのですが、こんなに長く住むなら、もっときちんと家具を選んでおけばよかったと今さらながら後悔しています。でも、小さなカウンター式のキッチンがついていて適度な広さがあり、そしてお家賃もさほど高くないので、できることならずっと住み続けたいなあと思っていますが・・・。

 お部屋には収納がないので、ものをしまうのにはいつもひと苦労です。コレクションのカフェオレボウル、食器、クロス、本、書類・・・などなど。でも、いろいろなものの中から自分の好きなものを拾い集めてインテリアに配置していくプロセスは、本当に幸せのひとときです。好みも年齢とともに少しずつ変わっていくので、それを素直に受け入れながら、思い立ったときに模様替えをしたりします。

 


家の近くの街並み

中庭を抜けたところにあるアパルトマンの入り口。
   
 

キッチンの白い壁には、アルミ製のケーキ型をコラージュのように飾って。砂糖やお茶の葉は空き缶や空きビンを利用しています。
   キッチンまわりはシンプルに。軽いアルミ製のお菓子の型などを壁に飾って、毎日使う調理用具や調味料をざっくりと並べています。カフェやお茶を入れる容器はヨーグルトやジャムの空きビンを利用したり・・・、やっていることはきっとみなさんと同じようなことだと思います。リビングのほうには白い折りたたみ式のテーブルが1つ。ここで仕事をしたり、ご飯を食べたり、お茶を飲んだりしています。
       
       
白い棚に白い箱を使って収納。
           
 収納はというと・・・私はカゴ使いがとてもへたくそなので、箱が収納アイテムです。色は純白。キャンバスのような真っ白い箱を大きさ違いでいくつも持っています。この箱に文房具や紙類、裁縫道具、薬など、こまごまとしたものを整理して入れています。ベッドまわりも白(生成りや麻の色よりも白が好き)です。特にフランスの手仕事の中では、クロッシェ(レース編み)やブチという南フランスのキルティングの風合いがとても好きです。  
アンティークのレース編みのベッドカバーはプレゼントでいただいたもの。
 
 

 そして、最近ちょっと凝っているのが額装。色つきの細い縁のものやアクリル素材のもの、装飾のついたフランス風の額など、雰囲気の違う額を選んで、ビュヴァール(昔のインク吸いとり紙)や、マチスやモディリアーニなどの画家の絵を入れて、壁に飾っています。額も手頃な値段で素敵なものが手に入るので、ちょっとした模様替えになるのです。

 もの選びは本当に難しい。お店で見て素敵なものでも、実際家に連れてくると違和感があったりします。何度も失敗をくりかえして自分のスタイルができてくるのかなと思います。自分の好きなものを素直に受け入れていくと、自分だけの世界が少しずつできあがっていく手ごたえを感じます。みなさんのお部屋もきっと自分のこだわりや好きなものが集まった素敵なお城なのでしょうね。

 
ちょっとした模様替えにもなる額装。左下の深緑色の縁のものが今一番気に入っている額の1つです。

キャトル・セゾンのHPをご覧のみなさんへ
長い間、コラムを読んでくださって、本当に本当にありがとうございました。勝手ながら、しばらくの間は本作りに専念したいという気持ちから、今回をもって、このコラムをお休みさせていただくことになりました。また、時間にゆとりができましたら、コラムを再開することになると思いますが、そのときは何卒よろしくお願いいたします。

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『パリの小さな店案内』
山本ゆりこ著/六耀社刊
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